アナルコ・キャピタリズム研究(仮)
MiniBlog 060216-060301


06/03/01 あなたは大きな公園に行きホームレスがチワワと同じぐらいたくさんいることを発見する。彼らはパブリックなスペースにテントを張って長期的にそこへ居住している。 ひと月ほど前、大阪市が多数のホームレスを強制排除したというのがニュースになっていた。

すべての公園は民営化されるべきである。土地と付属物をまとめてオークションにかける。 おそらく都心の真ん中にあるような公園は商業施設になるだろう。 住宅地の公園は住宅になる可能性がかなり高い。 名所になっているような大公園はそのまま民間の有料公園になる場合が多いかもしれない。 いずれにしてもその場所を最高に評価する者の手に渡り、何にでもなりうる。 すべての公園は私有地になる。ホームレスは当然そこにはいなくなる。 (もっとも土地を慈善団体が購入したりする場合は別だが。)

公園は都会のオアシスであり、緑の憩いの場である、 ホームレスに占拠されていない公園だったら普通はそう思うだろう。 だが公園は誰でもタダで利用できる必要不可欠なゆとりスペースだと思う人は、単に その利用料が税金から強制的に支払わされていることに気付いていない だけかもしれないし、あるいはその土地を民間に売った場合、よりよい公園ができる 可能性はないと思っているのかもしれない。

現在ある公園がすべて民間に売却されたからといって、 公園が全部なくなるわけではない。 人の多い街中に公園がまったくない状態なら、 有料公園を作って儲けようという人が必ず現れる。 あるいはビルの屋上が緑地化され公園になる。 デパートなどは買い物客に屋上をタダで提供するだろう。 今は政府の公園があるせいでそういうものがないだけである。 政府が何もせずすべてを民間でしたとき、効率的なレベルでは現在より公園的財への需要ははるかによく満たされるはずだ。

管理人はどんな公園を見てもいつももったいない(=非効率)と思う。 民営化しなくても有料化するだけでだいぶマシになるだろうが、 政府が所有している限りやはり非効率になるのは間違いない。 すべては民間に売却されるべきである。


06/02/28 昨日からのつづき。

では税金を一元化するとして

  • 消費税への一元化、たとえば20%
  • フラットな所得税への一元化、たとえば20%
    はどちらがいいか。

    引退した老人は後者のほうがいいと思うかもしれない。 だがそれは誤りである。 若者は労働を減らすから、企業は労働を安く買えなくなり、 結果生産するものの価格を上げなければならない。 すべての商品とサービスでこれが起こる。

    全体ではどっちの方法が効率的か=よりパイを減らさないか。 いろいろ考えてみるとけっきょく、消費税も所得税も政府へ入るルートが違うだけで、全体の非効率さは課税の全体的なレベルで決まるとわかる。 つまり消費税と所得税のどちらに一元化しようとも全体的な結果は同じである。 このことは少なくとも単純なモデルの上でははっきりと言える。

    では政府が多くを盗もうとするなら前者と後者どちらがいいか。 だれも消費税からは逃れられないから前者だと期待するのはちょっと無理だ。 現実に消費税はかなりの部分が益税となっていて国庫に入っていない。

    それでも政府は消費税一元化論を唱えるかもしれない。 すべてを直接税にしたら節税/脱税指南業が儲かる、 俗にいう闇の組織が暗躍・肥大化すると政府は考える。 (注:ここではむしろ闇の組織のほうが正義の味方である。 よりいい話をもってきてくれるのは政府でなく彼らのほうである。 多くの場合、取引は自発的なものだし、闇の組織の間で競争もある。) 政府はライバルである彼らを徹底攻撃で潰そうとするだろう。 だがどの税金も究極的には同じものだ。ただ人から盗むことである。 すべてを間接税にしても人々は直接税と同じように防衛行動をとろうとするだろう。

    消費税一元化論というのは(公平性ということに加えて)行政コスト削減ということで けっこう支持される。だが政府は行政コストをいくらでも大きくしうるし、 消費税と所得税のどちらに一元化しようとやはり全体の非効率の程度は同じになるだろう。

    いろいろ書いたが最初の生活保護の問題に対するリバタリアンの答えは決まっている。 すべての税金は悪である。 何かを得ようとするときは自発的な交換によるものでなければならない。 再分配政策はすべて否定される。 福祉はすべて自発的な寄付行為によるものでなければならない。


    06/02/27 生活保護を受ける世帯数が100万を超えたという。 単純計算で人口300万人以上だ。

    効用だけ考えると 最もリッチな人から最もプアな人への1ドルの移転 はつねに効率的になる、と思うかもしれない。 だが個人間で1ドルの効用を比較したりすることはできない。 ただそのような移転は政府がいなくても起こるだろうと言えるだけである。 最富者から最貧者への自発的な寄付行為は資本主義がふつうに機能していれば 十分期待できる。

    そもそもリッチ/プアというのは簡単に定義できない。 ある時点で収入が多い人も将来は収入が減ったりなくなったりする可能性が 十分ある。あるいはそうだからこそ現在頑張って収入が多いのかもしれないのである。

    政府による所得移転とは盗みの代行サービスである。 サービスなのだからそれはタダではできない。 少なくともそれらを扱う役人たちの給料をコストとして伴う。 また盗みなのであるから道徳的にも間違っている。 これは事後的な面からの再分配政策の否定である。

    より重要で、しかし見過ごされやすいのは事前的な面である。 お金を稼ぐと部分的に(累進課税のもとでは稼げば稼ぐほど) それを政府にもっていかれるとき、人々は行動の仕方を変える。 つまり政府の行動は個人のインセンティブを変えるのであり、 この場合それは非効率を生み出す(=不正な)インセンティブである。

    100円のものを買うと5円もっていかれる。これはたしかに消費を抑制する。 100円ショップで本来5個買っているはずの人は4個しか買わなかったりするだろう。 所得税(直接税)はどうか。仮に一律5%というフラットな所得税の場合、 100円稼ぐと5円もっていかれる。これは生産(労働)を抑制する。 いずれの課税もインセンティブを変える。 そして端のほうのパイが消えてなくなり非効率になる。 (つづく)


    06/02/20 今日本屋に行き森林学というものの存在を初めて知った。 いや正確に言えばそれがかなり大きい分野なのだということを初めて知った。 管理人は森林が好きである。 「山には自由がある」と山を愛したハイエクは言った。(ドキュメンタリー『市場対国家』 ep.1-ch.8より。動画視聴可能。)まさにそうだ。 中央でコントロールされていない、ただ自生的秩序だけがある。

    ▼この『市場対国家』はとてもおすすめできる。 ケインズ主義全盛のなか少数派で戦っていく自由主義経済学者たち。 ハイエクの生の声もインタビューで聞ける。 ミルトン・フリードマンも登場してやはり当時の思想の戦いなどを語る。 あと管理人は古今東西すべての政治家が嫌いだが、 この番組に出てくるサッチャーは唯一の例外だ。 The Road to Serfdomを片手に熱弁を振るい、議会でも力強い演説をする鉄の女。 ハイエクもじっさい彼女に何度も会い、美しい女性だと思っていた。


    06/02/18 リバタリアンにとってプライバシー権と並ぶ微妙な問題として知的財産権がある。 (特殊ケースだが、アイドルの私生活を盗撮して写真週刊誌に売るというなかなか擁護しにくいヤツを考えると、それは場合によってはプライバシー権と同時に肖像権(パブリシティ権)を侵害しているとされる恐れがある。)

    知的財産権の代表的なものとして著作権や特許権などが挙げられるが、 それらはいずれも政府によって与えられた独占権である。 となるとリバタリアンは黙って見ていられない。

    ここは自然権論者と帰結主義者の意見が分かれるところである。 子供たちがネットから音楽をただで手に入れるとき、 窓からFBIの特殊部隊が突入してくるかもしれないが、通常の意味での財産権を侵害していることにはならない。 だがインセンティブと効率を第一に考える帰結主義者は、 著作権や特許権を場合によっては認めることが多い。

    著作権や特許権があるアナルコ・キャピタリスト社会は考えられるし、 そうでない場合も想像できる。 たとえば著作権がなくとも作曲家のインセンティブを何も阻害せず、 かつ彼がコピーを売って十分儲けることが何らかの方法で可能なら、 その著作権は非効率な結果をもたらす可能性が高い。

    (なお知的財産権はリバタリアンの中心的テーマの一つで、L@Jにいろいろと詳しいentry1, entry2)。 このサイトでもまた論じるつもりである。 ところで上のアイドルの例では、 おそらく脅迫やゆすりで金を得たほうが事後的には効率的になるが、 そういう行為の方はふつう違法になる。 これもまたリバタリアンにとって微妙で議論に値する問題の一つであり、 今後また紹介することになるはずである。)


    06/02/16 先日紹介したエネミー・オブ・アメリカについてもう少し。

    映画では政府の職員たちがハイテクを駆使して盗聴や盗撮をやりまくる。 私人の私人に対するものであっても盗聴や盗撮はおかしいと普通は直感的におもう。 しかしプライバシーというのは場合によってはリバタリアンも簡単に擁護できなくなる。 (「プライバシー権」などというのはさらにあやしくなる。 これについてはL@Jに詳しい。) プライバシーについて考えるときはまずその定義や具体的状況をはっきりさせることが大事である。

    ロスバードとD・フリードマンの議論を映画に関連する部分で少しだけ紹介しておく。

  • The Ethics of Liberty by Murray N. Rothbard
    16. KNOWLEDGE, TRUE AND FALSE
    In short, as in the case of the “human right” to free speech, there is no such thing as a right to privacy except the right to protect one’s property from invasion. The only right “to privacy” is the right to protect one’s property from being invaded by someone else. In brief, no one has the right to burgle someone else’s home, or to wiretap someone’s phone lines. Wiretapping is properly a crime not because of some vague and woolly “invasion of a ‘right to privacy’,” but because it is an invasion of the property right of the person being wiretapped.

    要点: 誰も人の家に盗聴器を仕掛けることはできない。それが犯罪であるのは、あいまいな「プライバシー権の侵害」だからではなく、財産権の侵害だからだ。

    管理人注: 映画では高性能集音マイクや隠しカメラを使って、かなりの部分で財産権をはっきりと侵害することなしに盗聴や盗撮が行われる。

  • Privacy and Technology by David Friedman
    Privacy and Government
    The case of privacy from government differs from the case of privacy from private parties in two important respects. The first is that although private parties occasionally engage in involuntary transactions such as burglary, most of their interactions with each other are voluntary ones, which makes it less likely that someone else having information about me will result in an inefficient transaction. Governments engage in involuntary transactions on an enormously larger scale. The second difference is that governments almost always have an overwhelming superiority of physical force over the individual citizen. It follows that while I can protect myself from my fellow citizens, to a considerable degree, by locks and burglar alarms, I can protect myself from government actors only by keeping from them the information they need to benefit themselves at my expense.

    要点: 政府は巨大な規模で非自発的交換を行う。また政府は物理的力で 圧倒的に個人より勝る。わたしは施錠や警報機で他の個人から身を守ることはできる。 だが、わたしの負担で何かを得ようとする政府から身を守るには、政府がそのために必要とする情報を隠しておくしかない。


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