アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

国防論

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国防というのはよくわからない。 アナルコ・キャピタリズムでは最も難しい、最後の問題とされる一方、 そもそも守るべき国がないのでは、国(という概念)は捨てたのではという 一見したところの矛盾がある。

世界が同時にアナーキーになるなら問題はない。 民間警備会社だけがたくさん地球上に存在する状況。 これがアナルコ・キャピタリストの究極的な理想に違いないが、 実際一人のアナルコ・キャピタリストが熱心に考えているのは、 自分の住む国(主にアメリカ合衆国)が単独でどのように無政府国家になるかということである。

国防はふつう公共財とされる。それも多くの場合ピュアという形容詞付きで。 そして(公共財だからといってすぐに政府を持ち出さないのはリバタリアンとして最低限当然のことだが)アナルコ・キャピタリストは結論として国防も民間でやるべきだと考える。 たとえ効率的な生産ということで少し政府に劣ったとしても、 (その不便は他のいろいろなことで十分に補われて余りあるから) 破滅的な事態にならないのであれば国防は民間ですべし、すなわち無政府資本主義にすべしと考える。


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公共財問題というのは要するにフリーライド問題である。 路上で若者によって音楽が供給されるとき、誰でもその音楽にただで乗ることができる。 国防という大きな傘が差されるとき、原子爆弾の投下が抑止され、誰も死の雨に濡れることはない。

北朝鮮が日本に攻めてこないのはアメリカのバックアップを受けた自衛隊が反撃するからである。また核ミサイルを撃ち込んでこないのは金正日にそういうインセンティブがないからである。(彼はじっとしていて自分の立場を急に危うくすることさえしなければ、美女に囲まれながら寅さん映画を楽しめる。)これが国防である。

管理人のイメージする無政府資本主義国家では 各都市ごとに数十社の民間警備会社が市場で競争している。 問題はそれら都市の警備会社が同じ地域にあり、 地域防衛がやはり公共財になるのではないかということである。 (国防=国家防衛は問題でなく、地域防衛・都市防衛が問題。) 各警備会社が協力して外国からの侵略に立ち向かえばいいと思うかもしれないが、 どの警備会社も他の会社を当てにしてフリーライドするインセンティブがある。


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肝心なのは個人の生命と財産を守ることだ。(国防を論じるとき必ずここから離れてはいけない。)そして問題の焦点は無政府国家は外国の政府に乗っ取られるのではないかということである。

ソ連という脅威がなくなったことで国防の問題はずっとイージーになったというのはアメリカのアナルコ・キャピタリストの共通認識である。 無政府資本主義合衆国がかなり現実的に考えられるようになったのはソ連の崩壊による。 問題は侵略の規模であり、怖いのは大きい敵だ。それも思想が大きく異なるような。 それは冷戦時のソ連であり、近年のアルカイダや北朝鮮である。

無政府資本主義国家では個人の生命と財産を守ることは 主に民間警備会社に委ねられている。 都市では多数の警備会社によって市民の安全が守られている。 そして一方である悪い外国政府がその無政府国家の一つの都市を制圧して乗っ取ろうと目論んでいるが、個人の生命と財産を十分に安全にするためには 十分な抑止力・反撃力をもってその攻撃主体を物理的・心理的に十分隔離しておかなければならない。

もし民間警備会社が協力して大きな軍事力を備えていれば侵略は防げるだろう。 だがその場合は公共財問題=フリーライド問題=囚人のジレンマになる。 協力して軍事力を作る過程で各警備会社は保険料を上げなければならないが、 どの会社もそこから離脱し保険料を安くして独占を狙うインセンティブがある。 同時にこのような多数による協力を考えるのは政府を作ろうとしているのと変わらないし、 このように作られた責任の所在のない軍事力が個人の需要によく応えよく機能すると思えない。


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アナルコ・キャピタリストは国防に関して2つの学派に分かれている。 1つはそれを公共財と見るが供給は民間に任せる派、 もう1つはそれを公共財と見ずとうぜん供給は民間による派である。

管理人は国防を公共財と見て主に寄付的な方法に期待するという説明よりも、 国防を公共財に関する一般通念もろとも神話として粉砕する説明のほうが好きである。

(もっとも、もし日本が単独で無政府国家に移行できた場合、世界中の富と人が一極集中的に集まってくる。現在の日本の防衛費はだいたいGDPの1%程度であるが、無政府国家日本は信じられないほど豊かになっているから、国防や都市防衛が公共財だとしてもそれらは十分寄付的な方法によって供給されると考える。)

管理人の想像する無政府資本主義都市は 自由競争する民間警備会社によって外国の侵略から守られる。 個々の警備会社がそれぞれ外国の侵略から顧客の生命と財産を守る。 (もっとも敵が外側から来ようが内側から来ようが関係ない。) 個人個人の需要が各警備会社の創意工夫と技術革新によって 満たされる。

しょせん軍事力はお金と知識と技術である。 とても豊かな無政府国家では核を始めとする軍事力が民間によって分散所有されているだろう。 (これは無政府国家が安定的になるポイントである。) 最高級の警備会社は自前の大規模防衛・反撃システムを 海側の埋立地に用意しているはずだ。 バフェットのような大金持ちたちが必ずそういうのを需要するから供給される。 1社で準備できない場合は2・3社の共同開発・共同利用のようになるだろう。 また最高級の警備会社はMI6のような部署をもっていて 世界のどこかで不穏な動きがあれば未然に処理する。 たとえこれらが他のただ乗りを許す公共財的行為であっても、 それはネコに鈴をつけに行くネズミではなくネコを飼いならす人間である。 敵が強いなら相応の費用を負担しなければいけないが、 とても豊かな無政府国家の高級警備会社にとっては そのへんの貧しいテロ国家など問題ではないに違いない。


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