アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

経済学のシカゴ学派


リバタリアンの言説はすべて経済学で説明がつく、というスローガン。 ここでいう経済学とは、いわゆる主流派経済学のことであり、 シカゴ学派の経済学のことです。 管理人は経済学に興味をもって間もないころ 『ランチタイムの経済学』を手にする幸運に恵まれました。 下記に挙げた本はどれもおすすめできます。 (読みやすいものから順に並べました)。

シカゴ学派は一般には反ケインズ主義で有名ですが、 他の重要な特徴として、経済分析を経済学以外の領域に広げたこと(経済学帝国主義) が挙げられます。


  • 『ランチタイムの経済学』 
    スティーブン・ランズバーグ、ダイヤモンド社、1995年
    THE ARMCHAIR ECONOMIST (1993)

    ... 経済学の核心は、言ってみれば一行に尽きる。<人はインセンティブに反応する>。残りは注釈にすぎない。 ... [p3]

  • 『フェアプレイの経済学―正しいことと間違っていることの見わけ方』 
    スティーブン・ランズバーグ、ダイヤモンド社、1998年
    FAIR PLAY (1997)

    ... 公園では親たちが自分の子どもにいろいろなことを言って聞かせている。だが、ほかの子がおもちゃをたくさん持っているからといって、それを取り上げて遊びなさいと言っているのを聞いたことはない。一人の子どもがほかの子どもたちよりおもちゃをたくさん持っていたら、「政府」をつくって、それを取り上げることを投票で決めようなどと言った親もいない。 ... [p11]

  • 『選択の自由―自立社会への挑戦』 
    M&R・フリードマン、日本経済新聞社、2002年
    FREE TO CHOOSE (1980)

    ... このような「結果の平等」は、明らかに自由と衝突する。この「結果の平等」を推進しようとする人びとの努力こそが、政府をいっそう巨大化させたり、政府による自由への制限を生み出す主要な源泉となったりしてきたのだ。 ... [p303]

  • 『経済学で現代社会を読む』 
    ロジャー・ミラー、ダニエル・ベンジャミン、ダグラス・ノース、日本経済新聞社、1995年
    THE ECONOMICS OF PUBLIC ISSUES (1993)

    ... 一般的にいって、効率的な安全水準とは完全な安全を意味するものではない。完全を達成するにはあまりにもコストがかかるからだ。例えば、航空機の墜落による死亡や傷害事故を完全になくそうと思えば、私たちは航空機旅行をすべて禁止しなければならない。 ... [p17]

    ... 需要と供給の法則が結合されると、自発的な交換取引から生ずる莫大な交易の利益に光が当てられる。4章「美徳の不幸と悪徳の栄えと――売春、酒、麻薬禁止法の経済学」では、この利益をもたらす交換取引を政府が禁止しようと企てた時、何が起こるかを検証しよう。その結果はしばしば驚きであり、いつも高いコストにつき、悲しいことに時には悲劇的でありさえする。 例えば、禁酒法時代に連邦政府がアルコール飲料を非合法化した時、アメリカ人の反応は ビールからハード・リカーへ乗り換え、また泥酔するまで飲む時間が多くなった。 また、政府が推進しているマリファナやコカイン等の麻薬撲滅の努力が、大都会で多発する銃撃騒ぎを引き起こしたり、麻薬常習者に過剰服用を奨励する事態を招いている。 最後に、売春禁止法がエイズの蔓延を助長している。 ... [p32-33]

  • 『ベッカー教授の経済学ではこう考える―教育・結婚から税金・通貨問題まで』 
    ゲーリー・S・ベッカー、ギティ・N・ベッカー、東洋経済新報社、1998年
    THE ECONOMICS OF LIFE (1997)

    ... 私は、人種や性による差別、教育や他の人的資源に対する投資、犯罪と処罰、家族の形成・構造・解体などの社会的問題に対して経済学的な分析を適用したことによって賞を得た。果物、服、自動車といった単純な財をどの程度購入するかを決めるにあたって、ほとんどの人がコストと利益を秤にかけるということは、だれでも認識していることである。こうした常識的な着想が、すべての人間の決定にも適用できるというのが私の主張なのである。 ... [p312]

  • 『日常生活を経済学する』 
    デイビッド・フリードマン、日本経済新聞社、1999年
    HIDDEN ORDER : THE ECONOMICS OF EVERYDAY LIFE (1996) [Sample: Chapter 20]

    ... A crime that produces a net cost of ten dollars is inefficient, but it is not worth deterring it if doing so requires a hundred dollars in additional enforcement and punishment costs. The efficient level of crime, taking account of enforcement costs, may leave some inefficient crimes undeterred--because it is not worth the cost of deterring them. ... [chapter20-part3]

    訳: 正味で10ドルのコストを生む犯罪は非効率である。 しかしもし法律を実行し処罰するコストが 追加的に100ドルかかるならば、それは防ぐに値しないのだ。 法律実行のコストを考慮に入れると、 犯罪を効率的なレベルに保つということは、 ある程度非効率な犯罪を放置しておくことを意味するのだ。 なぜならそれらは防ぐに値しないからである。

  • PRICE THEORY AND APPLICATIONS 
    Steven E. Landsburg, South-Western Pub; 5th edition, 2001 [Web Site]

    ... Nonsmokers like to view cigarette smoke as a cost imposed on them unfairly by smokers. The problem, however, is a reciprocal one: It is caused by smokers and nonsmokers wanting to use the same air for two different purposes. Conceivably, it could be cheaper (that is, less unpleasant) for the nonsmokers to wear gas masks than for the smokers to curtail their smoking. ... [p468, Chapter13]

    訳: 非喫煙者は喫煙者のタバコの煙を不当におしつけられたコストとみなす。 しかし問題は相互的なものなのである。つまり、喫煙者と非喫煙者が同じ空気を異なる目的のために使いたいがために問題が発生する。ことによると、非喫煙者がガスマスクをつけるほうが、喫煙者がタバコを減らすよりも簡単(=より不快でない)かもしれないのだ。

  • PRICE THEORY: AN INTERMEDIATE TEXT 
    David D. Friedman, South-Western Educational Publishing; 2nd edition, 1992 [Online Version]

    ... Government regulation or ownership of monopolies is what economics textbooks have traditionally offered as the cure for the efficiency problems of private monopoly. What is wrong with this traditional analysis is that it treats the owners and managers of a private monopoly as part of the economic system, acting to achieve their own objectives, but treats government officials as if they were benevolent bureaucrat-gods, standing outside the system. There seems no good reason for such an asymmetrical treatment of the two alternatives. ... [Chapter16]

    訳: 独占企業は政府が規制するか所有すること、経済学の教科書は独占の効率性問題についてこのような対処法を伝統的に示してきた。 伝統的な分析がおかしいのは、企業の株主や経営者を経済システムの一部(目的を追求する個人)として扱っているのに対し、政府の官僚を(経済システムの外部にいる)慈悲深い神として扱っていることである。こんな非対称なやり方にとても合理性はないように思える。

  • LAW'S ORDER : WHAT ECONOMICS HAS TO DO WITH LAW AND WHY IT MATTERS 
    David D. Friedman, Princeton Univ Pr, 2000 [Web]

    ... We start with economic efficiency and end with conclusions that fit reasonably well both existing legal rules and our ethical intuitions. ... If instead of treating all benefits to everyone equally we first sort people into the deserving and the undeserving, the just and the unjust, the criminals and the victims, we are simply assuming our conclusions. Benefits to bad people don't count, so rules against bad people are automatically efficient. We cannot deduce moral conclusions from economics if we start the economics by assuming the moral conclusions. ... Economic analysis should give equal weight to the costs and benefits of murderer and victim. If doing so produces the conclusion we want -- that murder is a bad thing -- that is interesting. If it does not, that too is interesting. ... [p230-231, Chapter15]

    訳: われわれはまず経済効率の話から議論を始める。 そして議論を終えるときに、 存在する法律と倫理的直観の両方に よく合致する結論を得ている。

    ... もしすべての人の利益を平等に扱わずに、 始めから人々を人格者と非人格者、正しい人と不正な人、 犯罪者と被害者というふうに分けるなら、 われわれは単に結論を仮定しているだけになる。 悪人の利益を計算から外せば、 悪人に対する法律は自動的に効率的なものになる。 もし道徳的な結論を仮定して経済学を始めるなら、 われわれは経済学から道徳的な結論を引き出すことは できないだろう。

    ... 経済分析は殺人者と被害者の 費用・便益を等しく扱うべきなのだ。 そしてそれがもし われわれの欲しい結論 -- 殺人は悪いことである -- を引き出すなら、それはおもしろい。 引き出さないなら、それもまたおもしろい。

  • 『企業・市場・法』 
    ロナルド・H・コース、東洋経済新報社、1992年
    THE FIRM, THE MARKET, AND THE LAW (1988)

    ... あるレストランに行くために、 危険な通りを横切っていくことが 合理的か否かはさておき、 それが危険度を増せば、 そのようなことをする人は少なくなるだろうということは 確かである。 ... このような知識の一般化が、価格理論を形づくっている。... [p6]

    ... もしある行為を遂行する権利が売買されうるならば、 それらの諸権利は、生産や楽しみのためにそれらを 最も高く評価する人によって 獲得されることになろう。 ... [p14]

    ... 単に「外部性」が存在しているというだけでは、 それ自体では、なんら政府の介入の理由とはならないことは 容易にわかる。 ... [p28]

    ... 政府の介入もまた費用を要するという事実は、もし生産物の価値の最大化を ねらうのなら、「外部性」の多くのものはそのままにしておくべきだ、 ということを意味することになろう。 ... [p28]

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